shop labo モノトヒト(石川県金沢市)
金沢21世紀美術館から徒歩3分、百万石通りにオープンした「モノトヒト」。金沢市が2010年から始めた「生活工芸プロジェクト」のショップ&ラボだ。同プロジェクトは、「人間のより良い暮らしを、そのまわりのモノから考え、実践する」という企画。
明治初期に建てられた町家の1階を、中村好文の設計で改修した。錆びた鉄板のような扉を引いて入ると、白く塗装された明るい店内。テーブルや棚には、過去2回開催された生活工芸プロジェクト展から選んだモノが「standard collection展」として並んでいる。
決して多くのモノはない。むしろ点数は少ないが、一つひとつじっくり見たり触れたりするうちに、いつのまにか時間が過ぎる。
店内は2つに区切られており、「90days shop」は、90日間限定で全国の人気ギャラリーやショップが交代で出店する。期間ごとにしつらえはがらりと変わる。併設の「30days labo」は、30日間限定で地元金沢のモノ作りを紹介、展示販売する。セレクトの基準は、「生活者としての視点をもち、生活にまつわるモノを大事につくられている」こと。ディレクターの辻和美さんは金沢生まれのガラス作家だ。
いまは、生活用品もファッションも古道具も垣根がなくなってきた面白い時代。その中からモノを見る目こそが大事になってきた。「このプロジェクトが始まって3年。生活工芸とは何か? という問いの答えはまだ見つかっていません。ただ、生活のなかにある良いモノは、人を育てる力があります。ここは、誰の作品が手に入るというのではなく、古い新しいという区別なく、良いモノが手に入る店でありたい」。