「モンサントの不自然な食べもの」 「よみがえりのレシピ」(東京都渋谷区)
食の美味しさや安全を考えるとき、行き当たるのが作物の種。今秋、種にまつわる2本のドキュメンタリー映画が公開される。
1本は警告として耳を傾けたい「モンサントの不自然な食べもの」(写真左上)。モンサントは米国の多国籍バイオ化学メーカーで、主力商品は除草剤「ラウンドアップ」と、それに耐性のある遺伝子組み換え作物だ。この2つをセット販売することで、雑草を枯らし、作物だけを収穫するという仕組み。現在、20数種の遺伝子組み換え作物を開発している。
本作はフランス人ジャーナリストがインターネットで検索して得た公式文書を元に、政府高官や専門家、農家たちを訪ね、彼らへのインタビューによってモンサントの実態を暴くという内容だ。そこで明らかになるのが種を独占し、世界中の畑を支配しようとする企み。しかし人為的に操作した遺伝子組み換え作物は、安全性の確認が不十分だとも言われている。日本も大豆をはじめ数種の遺伝子組み換え作物を輸入しており、家畜飼料や食用油の原料などに使われている。本作を通して、食の安全を判断するきっかけになるといい。
もう1本は地域固有の在来作物に焦点を当てた「よみがえりのレシピ」(写真左下)。山形県を舞台に在来作物を研究する大学准教授と、地元産食材を使い、新たな食べ方を提案するイタリア料理店シェフ、そして作物を生産し、種を守り続ける農家たちの姿を追う。彼らの活動や交流を通して、在来作物は「生きた文化財」であることを静かに語る。日本の農業が進むべき未来や、地域活性のあり方を示唆する内容となっている。