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手縫いを楽しむ<ソーイングカフェ>

ノルブリンカ(東京都国分寺市)

vol.32 手縫いを楽しむ<ソーイングカフェ>

 東京都、JR中央線の国立駅前からバスで十数分、下りて徒歩数分。ちらほら畑が残る住宅街の古い小さな木造平屋に「ノルブリンカ」がある。自力で改修した家は、小屋裏まで気持ちよく吹き抜けた「隙間だらけのボロ家です(笑)」と武井啓江(ひろこ)さん。

 作業台を置いた陽当たりのいいコーナーは、軒先をちょっと出して増築。骨組は大工さんに頼んだが、あとは啓江さんが仕上げた。小さな庭の小さな小屋も啓江さんの作品。

「つくることが好きなんです。小屋は、いずれ縫物をたくさんつくって展示室にできたらと......」。

 啓江さんが縫う、子供服、大人服、バッグ、小物。生地は麻や木綿やウールなど自然素材。フィードサック(古い穀物袋)やヴィンテージ木綿も使う。ボタンは古い貝や陶器、手作りの木製ボタンなど。基本的に一点ものだが、セミオーダーの定番商品もある。生成りの麻を二重にして縫ったパンツ、トリプルガーゼのブラウス。

「ざぶざぶ洗えば洗うほど柔らかく、からだに馴染んできます。ミシンも使うけど、手縫いのステッチは格別。おばあちゃんの針仕事みたいに、優しいステッチで縫いたい」。

 啓江さんが縫物を始めたのは大学生の頃。「欲しい服が売ってないから自分で縫いました。縫物は独学です。子供の頃に、日本人形の衣装を縫う先生をする母に習ったくらい。就職もまったく違う分野でした」。現在2歳になる愛娘が誕生した後「住むこと、食べること、着ること。暮らしを仕事にしたい」と、自宅を開放して洋裁教室を始めた。7月からは毎月2日間限定で〈ソーイングカフェ〉を開いている。

「子供さんも連れてどうぞ。くろねこ軒さんが作る全粒粉のケーキなど、子供にも安心して食べてもらえるお菓子も用意しています」。

 カフェでは手縫いが基本。ピンクッションや鍋つかみなど布小物キットも用意している。

「子育て中の人、ちょっと疲れちゃっている人、ここに来て、くつろいで欲しい」。

 カフェを訪れた人は、思い思いに心地いい居場所を見つけて、ゆったりとお茶の時間を楽しむ。長居する人が多いという。ノルブリンカの意味はチベット語で「宝の庭」だ。
(2010年冬号)

ノルブリンカ
□東京都国分寺市西町5-20-5
□Tel. 042-572-9301
□mail@norbulingka.info
http://norbulingka.info
*ソーイングカフェは毎月第一金曜・土曜 10:30 - 16:00
 (次回は2月5日・6日)