好日居(京都市 空家だった町家を改修したお茶処)
30年も空家だった町家を改修したお茶処。場所は京都、地下鉄東山駅から徒歩7分。平安神宮や無鄰菴、観光名所や美術館の点在するエリアだが、静かな山居の風情。
「店名は、『日々是好日』から。ここで過ごす時間が、かけがえのない好日のひとこまとなるように、という気持ちでお茶を淹れています」。店主の横山晴美さんは以前、建築の仕事に携わっていた。2年前、旅の帰りに偶然この家と出会った。「朽ちて悲鳴を上げているような家でした」。
露地をつくり、玄関の三和土を叩き、台所は土間に戻し、壁を塗り、床と柱は柿渋・紅殻を塗った。縁側には大谷石を敷き、建具も取り替えた。
「友人知人たくさんの手を借りての改修、建具や家具、露地の石も貰い物......寄せ集めなんです」。
障子を簾戸に替え、蚊取線香と団扇で夏支度。「6月からは坪庭に接した隣家の建て替え工事が始まります。庭の様子も違って見えるでしょう。町並みが変わるのは淋しいけど、変化を楽しみたいと思います」。お茶は岩茶・抹茶・チャイなどで、小菓子を添える。お茶を淹れる水は井戸を廻って汲んで来る。お茶処、それから「ときどきギャラリー」。昨年4月のオープン企画は97歳のキューピー作家・ひさのお祖母ちゃんのQP展だった。
坪庭を眺めながら横山さんが丁寧に淹れてくれたお茶を飲む。息を吹き返した古家とともに、静かな時間に浸る。
(2009年夏号)