東京・表参道ヒルズの脇道沿いに、昨年12月にオープンしたばかりのオーガニックファッションの店「かぐれ」がある。

　店のコンセプトは「着心地のよさを追求したファッションと地球との新たな共生のかたちの提案」。

　服地はオーガニックコットン、あるいは竹繊維やウールなどの天然素材を使っている。オリジナルブランドのほか、欧米ブランドの服やフェアトレードを取り入れた服飾雑貨やアクセサリーも取り揃える。地球との関わりが感じ取れる商品は、ファッションだけではない。

　窓からの光がたっぷり射し込む２階には、生活雑貨が並ぶ。植物本来の香りの石けん、化学合成成分が含まれていないシャンプーや化粧品、肌着やベビー服、タオルなども。

「これ、さわってみてください」と店長の渡辺さん。繊維の一本一本まで柔らかなオーガニックコットンのタオルは、ぬくもりさえ感じる。

「オーガニックコットンは、肌ざわりや着心地がいいだけでなく、農薬などを使わないことで、農夫の方たちの健康や大地の豊かさが守られます」。

　２階の一番奥は、食器類のコーナー。益子にゆかりのある渡辺さんがセレクトした、若手陶芸家の器が中心だ。くせのないかたちで料理を選ばず、日常使いにちょうどよいものを集めた。

「洋服を見に来た方に気軽に手にとってもらえたら。きっかけは、どの商品でもいいですが、そこから視野を広げて、身の回りで使うものを選んでくれるとうれしい」と渡辺さん。

　店の小さな庭は「街野原」と名付けた。まだ土がのぞくが、春には野原に咲くような花が見られるそうだ。

　店の内外に、ほっと息がつけるような空気、ひだまりのような温かさが漂う店である。
（2009年春号）