神奈川県小田原市根府川(荒れ果てていくみかん畑を再生)
神奈川県小田原市根府川、相模湾に面した眺めのいい断崖に広がるみかん畑。今年で4年目となる、NPO法人ビーグッドカフェ主催「オレンジプロジェクト」に参加した。プロジェクトの目的は「荒れ果てていくみかん畑を再生すること」。
気候温暖な小田原には、かつて日本有数の出荷量を誇ったみかん畑が数多くある。牛肉、オレンジ自由化に端を発し、単価の下落や後継者不足などで、みかん畑の手入れが行き届かず放置される姿が近年目立ってきた。
「放置されたみかん畑は、ツル性の雑草や成長の早い樹木に覆われて藪化し、みかんの木に日が当たらなくなっている。木を一度伐ってしまうと、実をつけるまで再生に長い時間がかかります。昔から続いていたみかん畑を大切な資産として考え、後生に引き継いでいけないかと」と、アドバイザーの四井真治さん。
4月13日、あいにくの雨模様のなか32名もの参加があった。草刈り、ハーブや野菜の種まき、果樹の植林に精を出す。不慣れでも、土に親しむ作業には充実感がある。
「みかん畑に、別の作物や樹木を植えて多種多様な明るい森にします。人が農作業を通じて土地と関わり、畑の手入れのために人が入ることで、徐々に見た目にも美しく豊かな生態系を育む、みかん畑に再生するパーマカルチャーの発想です」。
街からやってきた参加者は土に触れて自然を愉しみ、みかん農家は採算の取れる形で生産を続ける。そこから生まれた里の風景は、ひとびとの共通の宝物となる。
(2008年夏号)